​Story

《 その病室で俺は何度も死んだ。これは夢の話じゃない。 
     確かに死んだのに、翌朝、俺は何事もなく眠りから目覚めた。
   目覚めるのは昨日まで自分が寝ていたのとは違う同部屋の他人のベットの上だった。そして、“死”から目覚めた俺はいつも欲しいと想ったモノを手に入れていた。》
  人は2度死ぬと言う。1度目は肉体の死、そして2度目は残された者達から忘れられてしまう記憶の死。もしも3度目の死あるとすれば?
  《 何度死んでも、朝は俺を追いかけてくる。》
  人はどれだけ満ち足りたなら、満足な最期の瞬間を迎えられるのか。
  最期に言うべき言葉とは、どんな言葉だったんだろう。
  愛する者の為に、死ぬ前の最後の言葉は笑って言いたい。
〜最後の言葉を笑って言う為に、今、貴方の心に足りないものは⁉︎〜。


(以下はHPのみの特別掲載になります)
とある病院)入院病棟の5人部屋。川崎太郎は、交通事故で運ばれた病院で受けた検査をきっかけに内臓の奥に病気が疑がわれる影が見つかり入院することになった。家族、会社の同僚、恋人たちが見舞いに訪れる毎日。川崎は進行中の仕事や、恋人や老人ホームに入居する母親との関係に溝が出来てしまう事が不安で早期の退院を望んだのだが、病院側は退院について話をはぐらすばかりで、その時期に目処が立たなかった。

(夜)就寝時刻を過ぎた病室は、其処に居る者が入院患者なのが嘘の様に「笑い」に満ちていてた。病院職員の目を盗み様々なゲームや悪戯をして笑わせあう患者達は、まるで仲間と過ごす初めての外泊に胸を躍らせる修学旅行生の様で、川崎はそれを異様に感じた。しかし昼間に訪れた見舞い客たちから聞く外の世界が自分の知るそれと違ったものに変化している気がして不安を募らせていた川崎も、夜になれば笑い疲れて全てを忘れ眠ることができた。

(ある日)鏡の中のやつれた顔を見た川崎は、まるで自分とは思えないその姿に驚嘆する。そして自分の死は近く訪れるのかも知れないと想いつめる。見舞いに訪れた職場の後輩から、自分の企画を会社内の他の者に奪われたことを知らされた川崎は、興奮し心臓発作を起こす。死を覚悟し、言い残すべき言葉を必死に探す川崎だが、ついに何も言えないままに息絶えてしまう。

(翌朝)いつもの様に目を覚まし布団から飛び起きる川崎。なぜか川崎が寝ていたのは、隣りの厚木という中年男のベッドだった。病室の皆は、昨日死んだのは(川崎ではなく)厚木だったと口を揃える。事態が飲み込めない川崎を見舞いに来た男が居た。厚木が部長を務める会社の社員の秦勇二。川崎は厚木が亡くなった事を秦に伝えるが、秦は厚木のことなど知らないと言い、川崎の事を「部長」と呼んだ。

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